2020年1月31日
西日本シティ銀行は福岡市博多区博多駅前の本店本館ビルを建て替える計画を発表した。 福岡地所株式会社と共同で、本店本館ビル、本店別館ビル、事務本部ビルの3棟を連鎖的に再開発する。
※建て替えが決まった「西日本シティ銀行本店本館ビル」(2020/1撮影)
JR博多駅前の一等地に位置する西日本シティ銀行本店は磯崎新氏が設計した赤茶色の特徴的な外観で、博多口(博多駅西側)エリアのランドマークとして親しまれてきた。
旧福岡相互銀行の本店として開業した現本館ビルは1971年(昭和46年)に竣工。地上12階・地下2階建、敷地面積:約5,200㎡、延床面積:約26,000㎡。
築48年が経過しており、建物が老朽化。博多駅周辺の古いビルと同様に耐震性の問題や今後の修繕費用などの課題もあり、再開発の方が低コストと判断した。
新ビルは福岡市が進める博多駅周辺エリアの再開発プロジェクト「博多コネクティッド」による容積率の緩和を活用し、延床面積は2倍以上となる見通し。
福岡空港が近いため、天神エリアほどの高さ制限の緩和は見込めないが、新ビルは現ビルより高い地上13階・地下2階を想定しており、
低層階は商業フロア、高層階はオフィスフロアとし、耐震性や防災機能などの機能性・先進性が高い複合ビルを目指す。
地下1階には、新たに広場を設置し、2020年度に延伸予定の市営地下鉄七隈線、JR博多シティへと繋がる。
本店ビルの再開発により、博多駅前エリアの活性化と賑わいの創出で 「博多コネクティッド」の起爆剤となることを目指す。
※2028年の竣工を目指し建て替えられる「西日本シティ銀行 本店別館ビル・事務本部ビル」(2020/1撮影)
今後の開発スケジュールは、現本店本館ビルは2020年6月頃に解体着手し、新ビルは2025年2月頃竣工予定。2025年5月頃に本店別館ビル・事務本部ビルの解体に着手し、新ビルは2028年9月頃の竣工を予定しており、
3棟を連鎖的に建て替える。本店本館ビル・本店別館ビル・事務本部ビルの3棟に分かれている本部機能は新本店ビルに集約する。
今後、具体的な計画を検討するとしている。
※建て替え予定の3棟は「博多コネクティッド」の対象エリア内に位置する
これまで、福岡市内のオフィスビルの開発計画は「天神ビッグバン」関連が中心であったが、今回の再開発計画は、「博多コネクティッド」にとって目玉とも呼べる計画になるだろう。
西日本シティ銀行の再開発対象地の敷地面積の合計は約11,466㎡。連鎖的なオフィス機能を持つビルの開発計画という事もあり、慢性的なオフィス不足の状況にある博多駅周辺エリアでは、重要度が非常に高い計画と言えるだろう。
博多エリアの一等地へのオフィスフロアの供給という点においては、オフィスの拡張移転や福岡への拠点開設・進出を考える企業にとって非常に魅力的である。
まだまだ、老朽化の進んでいる古いビルが多い博多駅周辺が、「博多コネクティッド」によって、建て替えが進む事でエリア一体となってオフィスビルの競争力が高まり、福岡のビジネスの街「博多」が、より活力と賑わいが溢れる街となるだろう。
福岡市の目指す10年での20棟の建て替え誘導が今回の発表で、さらに加速する事に期待したい。