2018年9月28日
西日本鉄道株式会社は、福岡市中央区天神の「福岡ビル」、「天神コア」、「天神ビブレ」を含む街区(福ビル街区)についての建て替え計画を発表した。
※福岡市中央区天神1丁目の「福岡ビル」、「天神コア(画像右奥)」(2018/9撮影)
計画では福岡ビルと天神コアを地上19階、地下4階の1棟ビルに建て替える。新ビルの高さは、天神エリアで最も高い約96mとなる。
福ビル街区を含むエリアの高さ制限は約67mであったが、国家戦略特区の特例として2014年に約76m、2017年には約76m~約100mまで制限が緩和されていた。
新ビルの地下2階~地上4階は飲食店やアパレルショップなどが出店する商業フロア。
5・6階は天神交差点を一望する九州最大のスカイロビーを計画し、ホテルのロビー、カンファレンス、コワーキングスペース、カフェ等を配置。
8~17階はオフィスフロア。 九州最大規模の基準階面積となる約4,300㎡の賃貸オフィス。
18・19階はホテルフロアを整備し、クリエイティブワーカーや外資系ワーカーなどをターゲットにしたハイクオリティなホテル(客室数約50室)にするとしている。
※地下3・4階は駐車場、7階は設備フロア
外観デザインは、六本木ヒルズ森タワーの設計や大手町タワーの外装デザインで知られるコーン・ペダーセン・フォックス社(アメリカ)が担当。
日本の伝統的な格子柄、西鉄電車のレールから発想を得た鉄の素材感などを取り入れたデザインを特徴としている。
事業名称 | (仮称)天神1丁目11番街区開発プロジェクト第1期事業 |
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所在地 | 福岡市中央区天神1丁目11番 |
敷地面積 | 約6,200㎡(約1,900坪) |
延床面積 | 約100,000㎡(約30,000坪) |
階数 | 地上19階 地下4階 塔屋1階 |
建物高さ | 約96m |
外装デザイン | コーン・ペダーセン・フォックス(Kohn Pedersen Fox Associates) |
用途 | 商業、オフィス、ホテル、カンファレンス 他 |
「福ビル街区建替プロジェクト」では福ビル・コア・ビブレの3棟を一体的に再開発する計画だが、
天神ビブレについては、地権者との協議が続いている段階。
第1期事業として、福ビルを2019年4月以降、天神コアを2020年4月以降、それぞれ先行して解体に着手し、
ビブレの地権者との協議がまとまり次第、新ビルと一体的に再開発を行う方針。
1期ビルの竣工は2023年12月、開業は2024年春を予定している。
建物名 | 福岡ビル | 天神コア | 天神ビブレ (天神第一名店ビル) |
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竣工 | 1961年12月 | 1976年5月 | 1976年11月 |
延床面積 | 42,980㎡ | 23,892㎡ | 23,810㎡ |
構造 | SRC造 | SRC造 | RC造 |
階数 | 地上11階 地下3階 | 地上8階 地下3階 | 地上8階 地下3階 |
用途 | オフィス・商業 | 商業 | 商業 |
天神の中心に位置する「福ビル街区」。福ビルは半世紀以上の長きに渡って天神を代表してきたビル。
ただ、コア・ビブレと共に老朽化も進んでおり、再開発にあたっては、その動向が大きく注目されていた。
福岡市は推進する「天神ビッグバン」において、国家戦略特区による高さ制限の緩和や「天神ビッグバンボーナス」として、容積率が緩和されるなど、先進的なビルへの建て替えを促進してきた。
今回、発表された「福ビル街区建替プロジェクト」は市の施策もフル活用した計画となっている。
建て替えにより、福岡の新たなランドマークとなるであろう新ビルが、天神明治通り街づくり協議会が掲げる「アジアでもっとも創造的なビジネス街」の中心になることは間違いない。
また、福ビルの建て替えにより、西鉄の本社は2019年3月末に博多駅前3丁目の博多センタービルに移転する。
西鉄と同様に福ビル入居企業は事務所の移転を計画しなければならないが、
現在、天神・博多エリアともに、ある程度の面積を確保できるオフィスビルの空室は限られている。
しかし、2018年以降に竣工予定のオフィスビルも複数あり、今後の福岡のオフィス市況のさらなる活性化に大いに期待したい。