2017年10月27日
※赤色部分:高さ制限が緩和されるエリア
福岡市は、中央区天神の明治通り地区(約17ha)と、博多港がある博多区のウォーターフロント地区(約38ha)について、航空法による高さ制限が緩和されたことを発表。
■旧大名小跡地については2017年8月に高さ制限が緩和
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新たな高さの上限は「明治通り地区」は明治通りと交差する渡辺通りを境に東側が76~100メートル、西側が約115メートル。「ウォーターフロント地区」が約100メートル。
これまでの高さ制限は、「明治通り地区」が75メートル、「ウォーターフロント地区」が70~90メートルだった。
これにより、超高層ビルなど大型建築物の建設が可能となる。
エリア | 従来の高さ制限 | 新たな高さ制限 |
---|---|---|
明治通り地区 東側 | 75メートル | 76~100メートル (福岡空港までの距離に応じる) |
明治通り地区 西側 | 75メートル | 約115メートル |
ウォーターフロント地区 | 70~90メートル | 約100メートル |
旧大名小跡地 | 76メートル (2014年まで67メートル) | 115メートル |
明治通り地区は、福岡市天神に位置する九州を代表する繁華街の中心部。しかし、建物の老朽化が進み、小規模ビルも多い。
昨今、福岡市ではオフィスビルの需要が拡大しており、空室率が下がり続けているが、ビルの新築や建替が進んでおらず、供給が追いついていない状況。
そのため、同市は2014年に国家戦略特区に指定され特例承認を活用し、高さ制限の緩和、ビルの容積率緩和によりビルの建て替えを推進する再開発プロジェクト「天神ビッグバン」を進めている。
現時点では、福岡地所(株)が地上16階・地下2階の大型複合ビル「天神ビジネスセンター」の建設が予定されている。
■明治通り地区を含む再開発事業「天神ビッグバン」
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ウォーターフロント地区は博多港や福岡サンパレス、マリンメッセ福岡、福岡国際センター、福岡国際会議場などの施設がある交流拠点。様々なイベントやMICEに利用されており、国内外から多くの人が集まる。
今回の緩和により、海外客向けの大型・高級ホテルや商業施設の計画が検討されている。
■「ウォーターフロントネクスト(中央ふ頭・博多ふ頭の再整備)」
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「明治通り地区」、「ウォーターフロント地区」で高さ制限が緩和されたが、市では「博多駅周辺地区」も合わせた3地区を都市成長の軸としており、
博多駅周辺の高さ制限を約50メートルから60メートルへ引き上げることを要望している。
福岡市が進める再開発事業「天神ビッグバン」。2024年までに30棟の建て替えを誘導する同プロジェクトだが、実際の建て替えに着手しているのは「天神ビジネスセンター」のみ。
建て替えが進みにくい要因のひとつとして、現ビル入居テナントの移転先の確保が挙げられる。福岡市内の空室率は中央区が4.7%、博多区が4.1%(2017年10月現在)。
建て替え予定地区以外の企業も移転先を探しており、需給逼迫の状態が数年続いている。さらには建築費の高騰などもあり、課題も多く残されている。
しかし、博多駅周辺では新築オフィスビルも建設中であり、計画も発表されている。移転の動きが活発化し、移転先を確保できる企業もでてくるだろう。
市内3地区の再開発は都市成長に不可欠であり、規制緩和による、さらなる再開発事業の加速に注目していきたい。