2013年6月28日
ILCの建設が予定される脊振山地周辺
高エネルギー状態を再現する次世代加速器の開発計画「国際リニアコライダー(ILC)」。 ILCとは、長さ約30km~40kmの直線状のトンネル内に構築した加速器で電子と陽電子を高速に加速して衝突させ、宇宙初期(ビッグバン)に匹敵するほどの高エネルギー状態を再現することを目的としている。 そこから生まれるさまざまな素粒子を調べ、宇宙誕生の謎の解明などが期待される。 ILC誘致にスイスやアメリカなどの世界5ヶ所が名乗りを挙げており、日本では福岡、佐賀両県にまたがる脊振山系と岩手県の北上山地が候補地になっている。両地域ともに誘致活動を活発化させており、 6月27日には九州経済連合会の松尾新吾名誉会長らが首相官邸を訪れ安部晋三首相に誘致を要望し、九州への誘致をアピールした。 審査を担当するILC戦略会議は1月から長期間審議を行っており、国内選考が最終段階にあると見られ、地域に大きな経済的な恩恵をもたらすILCの誘致先が今後どこになるのかが注目される。
ILCができる事で期待される効果は研究施設周辺の地域の活性化に大きく貢献すると思われる。 教育(研究者・技術者の育成)、産業(国際的な研究機関との取引に国内企業の技術力向上や世界進出の促進)、 経済効果(研究所並びに関連施設周辺で多くの雇用が生まれる)の面で効果が期待されている。 しかし、研究施設の建設にかかる莫大な投資に国民の理解が得られるか、数千人規模の研究者を集める事ができるかなどの課題も多い。